こんにちは、森翔吾です。
最近、
僕の朝は少し
「奇妙なルーティン」
から始まります。
毎日というわけではありませんが
週に3回ほどでしょうか。
朝8時に子供たちを
保育園に送り届けた後、
僕はそのまま自宅には帰らず
反対方向へ、
「孤独な徒歩の旅」
に出ます。
目指すのは
ここから1時間半の距離にある
ロシア・カザンの旧市街。
24時間営業の
ウズベキスタン料理屋へ。
僕が住んでいるのは新しいエリアなので
旧市街までは歩いて約1時間半。
今の気温は0度前後。
例年よりも10度くらい高くて
雪が降っていない代わりに
冷たい雨が降りしきる日々です。
土砂降りではありませんが
どんよりとした空の下
現地人と同じく傘はささない。
途中、
大きな川に架かる橋を渡ります。
これがまた寒い。
気温は0度でも
川の上を吹き抜ける風を受けると、
体感温度はマイナス10度
くらいになります。
顔が痛いほどの冷気。
ちなみに、
マイナス10度くらいなら
まだギリギリ歩ける。
でも、
マイナス15度を超えてくると
「寒いなぁ」と感じ、
風が加わって
体感マイナス25度になると
本当に一瞬で体の芯まで
冷えてしまいます。
立ち止まったら終わり。
歩き続けるしかない。
そんな環境です。
なぜ、
わざわざそんな寒い中を
長時間歩くのか?
それは、
この「1時間半の徒歩移動」が
僕の仕事の効率を爆発させ、
思考の質を根底から変える「最強のアウトプット術」
になったからです。
そして、
その先には僕のモチベーションを
最高潮に高めてくれる
「あるご褒美」が待っているからです。
思考が止まる「デスク」を捨てた理由
僕が40歳を超え
最初に感じたのは身体の衰えでした。
以前、
少し机に座って集中して
作業をしていた時期があったのですが
すぐに限界が来ました。
長時間デスクに向かい
キーボードをカタカタと打っていると、
目はショボショボしてくるし
肩こりが酷くなり
手首は腱鞘炎になりかける。
40歳を超えて
急激に体力が落ちたのか、
肉体的な疲労がそのまま
脳の疲労に直結しているのを
痛感しました。
「これはちょっと厳しいな」
そこで思い切ってスタイルを
変えることにしました。
そしてもう一つ
気づいたことがあります。
「キーボードを叩くスピードは
脳の思考速度に全く追いついていない」
ということです。
頭の中で閃いたアイデアを
指がカタカタと文字に変換している間、
思考は待たされ、
熱量は冷めていく。
結果、
例えば、5,000〜10,000文字の
ブログ記事を書こうとすると
人間の集中力の限界を超えてしまい、
脳は疲労で考えることを
嫌がるようになっていました。
タイピングしている途中で
思考と手を動かすことのギャップに
疲れ果ててしまうのです。
座ったままで何かを
生み出そうとすることは
僕にとって最大の非効率であり、
思考の停滞
を生み出す元凶だったのです。
人間は座っている状態と
歩いている状態では
脳の働き方が全く違う。
これは科学的にも
証明されていることですが
実際に試してみて
その違いに衝撃を受けました。
1.5時間で「2万文字」を生み出す仕組み
この状況を打破するために
僕が始めたのが、
この「歩きながらの音声入力」でした。
きっかけは、
妻と長女ソフィアが旅行で家を空け
僕と次女アマヤの二人で
留守番をしていた時のことです。
朝8時、
次女を保育園に送り届けた後
家には誰もいない。
ふと、
「散歩してみようかな」
と思い立ちました。
最初は家の周りを
10分、30分と歩いていただけでした。
でも、
歩きながらぶつぶつと
考え事をしていると、
今まで思いつかなかったような
アイデアが次々と湧いてくるのです。
「これはいいぞ」
と思い散歩の時間は次第に延びていき
気づけば1時間、1時間半、
そして最長で遠回りし2時間かけて
旧市街のウズベキスタン料理屋まで
歩くようになっていました。
歩いている間、僕はただ
景色を見ているわけではありません。
「AIボイスレコーダー」に向かって
ひたすら喋り続けているのです。
・今日のブログの記事はどう書くか
・新しいビジネスのアイデア
・日々の気づき
・今後どうしたいか、という人生設計
・抱えている漠然とした不安
これらを
誰にも遠慮することなく
声に出して吐き出します。
歩くことで脳には酸素が回り
思考は活性化します。
そして、
ロシア語しか通じないこの国では
僕が日本語で何をぶつぶつ言っていようが
誰も気にしません。
すれ違う人に
「変なこと言ってる」
と思われる心配もない。
この完全な自由が
本音を引き出してくれます。
その結果
どうなったか。
計算してみると
30分でだいたい
6000文字。
1時間半ちょっと歩くと
休憩や考える時間を含めても、
2万文字
ものテキストデータが
生成されることがわかりました。
これをキーボードで打とうとしたら
一体どれだけの時間がかかるでしょうか?
ネットで調べた結果、
考えながらタイピングした場合は
1時間半だと、
3000文字
・
・
・
どうやら僕の場合は7倍近くも
タイピングができている計算になります。
しかも、
腕の腱鞘炎のリスクもあるし
終わった頃には脳も体も
クタクタになっている。
これが現実。
でも、
この歩きながらの音声入力なら、
体は程よい有酸素運動状態で
脳には酸素が回り
思考はクリアなまま。
圧倒的なスピードで
アウトプットが完了してしまうのです。
こうやって数字で比較してみて
改めてビックリしました。
AIは「賢い壁打ち相手」として機能する
もちろん、
ただ喋っただけのデータは
完璧ではありません。
僕の場合、
考えながらゆっくり喋ったり
時には沈黙したりすることもあります。
音声入力のため、
誤字脱字もあるし
話があっちこっちに飛んだり
重複したりすることもある。
一昔前の音声入力なら
ここから修正するのが大変で、
「全然使い物にならない…」
で終わっていたと思います。
でも今は違います。
ここで登場するのが
AIです。
僕は生成された膨大な音声テキストを
AIのチャット欄に全て入力し
こう指示を出します。
「このデータを全て読み込み、誤字脱字や重複、話の順序がおかしい部分を修正してください。さらに、プレゼン資料として人に見せられるように、今回話した内容の要点をかなり詳細にまとめてください。」
このプロセスが
まさに革命でした。
AIは僕の散漫な独り言を一瞬で整理し
論理的な文章に変換してくれます。
たとえ僕が「漢字」を
間違えて喋っていても
AIは文脈から正しく理解してくれる。
だから、
僕は「正しい言葉」を喋ろうと
努力する必要すらないのです。
ただ思考を吐き出すだけでいい。
さらに、
AIは単なる要約ツールではありません。
「自己探求」や
「将来こうなりたい」という
漠然とした悩みに対しても
相談相手として機能します。
例えば、
「今、お金がないんだけど」
「子供との時間が取れない」
と僕が喋ったとします。
するとAIとの対話の中で、
「それは本当にお金の問題なのか?」
「どうやって時間を作るか?」
「保育園の預かり時間を延長できないか?」
といった具体的な問いや
解決策が見えてくる。
「ずっと子供と一緒にいて
自分の時間が全くない。
新しい挑戦もできない」
と嘆くだけなく、
「じゃあどうやってバランスを取るか?
副業をするのか?
今の会社で出世を目指すのか?」
と、思考が一歩先へと進むのです。
AIに投げかけることで
自分一人では気づかなかった
「思考の穴」や「矛盾」
がクリアになり
午前中の散歩が終わる頃には
悩みの原因があぶり出され、
次のアクションプランまでが
明確になっている。
これは衝撃的な体験でした。
口に出して喋り
AIにまとめてもらう。
このサイクルが
僕の仕事のスピードを爆速にし
人生の迷いを消し去ってくれたのです。
ちなみに、
この文章を読んでいる
あなたには伝わっているはずですが、
この記事自体が
まさに今朝のその一連の作業で
熱量を保ったまま完成したものです。
脳のホコリが磨かれ、街の息吹が見えた
この習慣がもたらしたのは
仕事の効率だけではありませんでした。
1. 脳がピカピカに磨かれた感覚
毎日1時間半
30分や1時間では飽き足らず、
家に帰ってからもパソコンに向かって
ぶつぶつと独り言を言い続ける。
特にここ10日間では
毎日平均4時間はスマホや
PCのマイクに向かって喋ってます。笑
そうやって自分の考えを
言語化し、整理することを繰り返すことで
頭の中が劇的に変わりました。
例えるなら、
長年溜まっていた脳のホコリが
ピカピカに磨き上げられていく
感覚です。
以前はブログを書くとき、
「あれを書き忘れた」
「話の順番がおかしい」
と後から気づいて
修正に追われることがよくありました。
思考がぐだぐだで
まとまっていなかったのです。
でも今は違います。
ひたすらしゃべる続け
思考が整理されているおかげで
パッとブログの構成を思いついた瞬間、
伝えたいストーリーが
勝手に上から順番に並ぶようになりました。
意識せずとも
論理的な順序で言葉が出てくる。
もちろん後から、
「この要素が足りない」
「批判されるかもしれないから補足しよう」
といった修正はありますが
ベースとなる構成の完成度が段違いです。
思考とアウトプットの間にあった
壁が完全に消滅しました。
2. 健康と「動ける体」への意識
40歳を超えて
これから50代、60代を迎える上で
体が動かなくなる恐怖があります。
僕の祖母は二人とも
パーキンソン病とアルツハイマーで
10年近く寝たきりの生活を送っていました。
その姿を見てきたからこそ
「動ける体」を維持することの
重要性を痛感しています。
実は、
僕が住んでいるマンションの1Fには
スポーツジムがあります。
ファミリー会員権を持っているので
いつでも行けるのですが、
最初の一回行ったきり
行かなくなってしまいました。
部屋の中でトレッドミルの上を走るのが
どうしても好きになれなかったのです。
それよりも、
外の景色を見ながら
ぼーっと考え事をしたり
音声入力をしたりしながら歩く方が
僕には合っていました。
通勤ラッシュの満員バスや
渋滞している道路を横目に見ながら、
「みんな毎日大変そうだなぁ、
頑張ってるなぁ」
と思いながら歩く。
その中で、
関節や肩、足首を意識して動かし
五十肩にならないようにストレッチをする。
この「歩くルーティン」こそが
僕にとって肉体と精神の健康を
両立させる最高のソリューションでした。
3. 歩かなければ気づかない街の発見
車やバスでは見過ごしていた
このロシアの地方都市
カザンの街の小さな変化も
僕の毎日の楽しみです。
僕が毎朝向かう旧市街の
ウズベキスタン料理屋周辺は
まさに街の中心部。
そこでは今
急速な開発が進んでいます。
古い廃墟のような建物が
外壁だけを残して
美しくリノベーションされ
新しい命を吹き込まれている。
そして何より驚いたのが、
街の「優しさ」の変化です。
以前のカザンは、
車椅子やベビーカーに対して
あまりフレンドリーではありませんでした。
歩道の段差が高く自転車でも
一度降りなければならなかった。
でも最近、
多くの場所でその段差が取り壊され
フラットなスロープに作り替えられています。
「ああ、この街も発展しているんだな」
「財政に余裕が出て
ちゃんと国民の生活を考える
フェーズに入ったんだな」
そんな、
海外のニュースはおろか
国内の経済指標からも見えてこない
ローカルな社会の息吹を
肌で感じることができます。
ウズベキスタン料理を食べた後、
旧市街の市場で近所のおばちゃんが
家で採れたリンゴやキュウリを
売っているのを買って帰る。
そんな小さな触れ合いも
家に座っていたら
決して出会えなかったものです。
あと、
GPSアプリ「Yandex Maps」を見ながら
バスの時間を調整するのも
歩き始めてから覚えた知恵です。
僕の家まで帰るバスは
20分に1本しかなく
寒いバス停で20分も待っていたら
体が冷え切ってしまいます。
だから、
GPSでバスの現在地を確認し
到着の5分前に店を出る。
そうすればバス停に着いた瞬間に
暖かいバスがやってくる。
この地方都市で
ここまで正確なGPS追跡ができることにも
驚きましたが、
こうした小さな発見の積み重ねが
生活を豊かにしてくれます。
最高のゴール:ウズベキスタン料理
そして、
この1時間半の過酷な散歩を支えている
最大のモチベーション。
それが「ウズベキスタン料理」です。
1時間半歩いて程よく疲れ
冷え切った体に流し込む
あの濃厚なスープ。
「シュルパー」と呼ばれる
そのスープは、
どのお店で注文しても100%、
骨からしっかりと煮込まれています。
そこに、
ジャガイモ、ニンジン、パプリカが
丸ごとドカーンと入っていて
大きな羊肉(または牛肉)の塊がゴロリ。
コラーゲンたっぷりで
歩いた後の体に染み渡る優しさです。
さらに、
タンドール窯で焼かれた
お肉がぎっしり詰まった
「サモサ」というパン。
これを食べて
最後に温かい紅茶を飲む。
このセットでだいたい500ルーブル、
日本円で1,000円もしないくらいです。
ウズベキスタン料理屋が
集まるエリアには
10軒ほどのお店があり
毎日違う店を開拓する楽しみもあります。
もし、
この「美味しいゴール」がなかったら
寒くて時間のかかるこの散歩は
続かなかったかもしれません。
人間の意志なんてそんなものです。
だからこそ、
「思考の整理」と「食の快楽」を
セットにすることが
継続の秘訣なのかもしれません。
最後に:机から解放された新しい生き方
僕は今
この新しいルーティンによって、
「机とキーボードに縛られない
圧倒的に合理的で、健康的で
生産性の高い新しい生き方」
を発見したと確信しています。
・朝8時に出発し娘を保育園に預け
・1時間半歩いて思考を整理し
・30分で食事をして
・バスで帰宅し家に着くのは11時過ぎ
所要時間は約3時間。
午前中のうちに全てが完結します。
家に帰り着き
コートを脱いで椅子に座り
パソコンの前に向かう。
その時の、
「今日もルーティンを完了した」
という達成感
は何物にも代えがたいものです。
程よい疲れと
食事の温かさが体に残っている。
そして手元には整理された
大量の思考データがある。
例えばブログに関して、
以前なら1週間かかっていたような
クオリティとボリュームの記事が
午前中の散歩だけで
ほぼ完成しているのです。
もちろん、
この方法には課題もあります。
ロシアの冬は厳しく
マイナス10度を下回ると
口が回らなくなって喋れなくなるし、
スマホのバッテリーも寒さで
一瞬で落ちてしまいます。
口元にボイスレコーダーを近づけて
寒さを凌いだり
バッテリーを温めたりといった
工夫が必要です。
また、
この方法は日本だと人目を気にして
外で一人ぶつぶつ喋りながら歩くのは
難しいかもしれません。
「あの人、変なこと言ってる」
と思われるのが恥ずかしい
という気持ちもわかります。
でも、
工夫次第です。
人通りの少ない場所を選ぶ
車の中で録音する。
一つ言えることは、
「思考をデスクから解放し、言葉にする」
という行為自体は
場所を選びません。
もしあなたが今、
思考の停滞や肉体の疲労を
感じているなら。
そして、
「時間がない」「アイデアが出ない」
とパソコンの前で頭を抱えているなら。
可能な限りですが、
まずはデスクを離れ
外に出てみてください。
そして、
自分の声で頭の中にある全てを
吐き出してみてください。
これこそが、
情報過多の時代を生き抜き
自分自身の人生を切り拓くための
最も強力で合理的な武器になるはずです。
僕はこの方法で
人生の主導権を取り戻しました。
デスクの前で固まっている時間を
外に連れ出してあげるだけで、
思考も体も人生も
けっこうあっさり動き始めます。
あなたも、
キーボードを捨てて
歩き出してみませんか?
