森翔吾です。
イヤフォンをしたまま、
久々にスマホの
YouTubeアプリを開きました。
最近はほとんど
スマホではYouTubeを
見ていませんでした。
理由があります。
半年くらい前まで、
夜になると
ベッドでゴロゴロしながら、
YouTubeショートや動画を
ダラダラ見る癖が
ついていたんですよね。
子どもを寝かしつけた後、
夜の10時か11時に
「ちょっとだけ」と開く。
気づいたら深夜2時。
2〜3時間が消えている。
翌朝、当然疲れが残っている。
それが何日も続きました。
さすがにまずいと思って、
スマホでYouTubeを見るのを
やめました。
見るときはパソコンで見る。

パソコンだと
ダラダラ見続ける度合いが
まだマシなので。
それが先日、
イヤフォンをしたまま
久々にスマホのYouTubeアプリを
開いたんです。
その瞬間、
サムネイルが自動再生されて、
爆音が流れました。
びっくりしてイヤフォンを外しました。
あれ?
自動再生自体はオンにしてあったけど、
今まではミュートで
音声はなかったはず。
それなのに
音声が勝手にONになっている。
しかも、
画面をスクロールするたびに、
サムネイル画像から0.1秒くらいで
瞬時に映像が再生されます。
ちなみに、
一回ミュートにしても
数日後にまた
勝手に音量ONになってました。
そのため、
サムネイルの自動再生自体を
オフにしようと設定を探しました。
ところが、
いくら探しても見つかりません。
以前は、
「設定→全般→フィードで再生」に
あったはずの項目が、
きれいに消えていたんです。
ちなみに僕は昨年まで、
YouTubeチャンネルを
19万人まで育てて、
日々更新していました。
だから運営側が
何をしようとしているのか、
すぐに気づきました。
「YouTubeがかなり焦っている」
という、不都合な事実に。
TikTokやInstagramに加えて、
AI動画生成サービスまで
台頭してきている。
YouTubeを取り巻く競争環境は
明らかに厳しくなっている。
その競争に
追い詰められているんだろう。
そう直感しつつ、
英語ベースで実情を調べてみたところ、
その予想は当たっていました。
YouTubeの「数字」に見える焦り
まず、
YouTubeを運営する
Google / Alphabet
の業績を見てみます。
2025年通期のYouTube広告収入は
約360億ドル(約5.4兆円)。
年間売上全体では
サブスク(YouTube Premium)を
合わせて600億ドル(約9兆円)を
超えました。
数字だけ見れば好調に見えます。
ただし、
問題は「絶対額」ではなく
「伸び方」です。
同じAlphabetの中で、
Google検索の広告収入は
前年比+14〜17%で伸びているのに対し、
YouTubeの広告収入の伸びは
+9%前後にとどまっています。
伸びてはいるけど、
明らかに鈍化しています。
しかも、
YouTube運営は社内比較だけでなく、
外部との競争でも楽観できません。
ライバルのTikTokは前年比
+49%で、
若年層を中心に
YouTubeからシェアを
奪い続けています。
さらに深刻なのは、
クリエイター側の収益崩壊です。
2025年末から2026年にかけて、
世界中のYouTuberが
収益の急落を報告しています。
例えば、
月1万ドル(約150万円)
稼いでいたチャンネルが
2,000ドル(約30万円)にまで落ちた。
40〜70%の収益減です。
僕自身は2025年5月に
YouTubeの更新を意図的に止めたため、
直近の収益悪化を
自分の数字としては確認していません。
ただ、
英語圏の掲示板Redditを見ると、
同じような暴落が
山のように共有されています。
この収益崩壊の原因は
いくつかあります。
1つ目の原因は、
AIで量産された
低品質な動画の氾濫です。
新規ユーザーに表示される動画の
20%以上が、
AIで自動生成された
低品質な動画だという調査があります。
YouTube側も対策はしていて、
47億回再生分のAI生成コンテンツを削除し、
1,200万チャンネルを停止しました。
しかし、
まったく追いついていません。
AI動画生成ツールの進化によって、
今では誰でも週に何百本もの動画を
作れるようになりました。
動画の供給量が爆発的に増える一方で、
広告主の予算総額は変わらない。
結果として、
クリエイター1人あたりの分前(収益)
が暴落したわけです。
2つ目の原因は、
ロング動画の冷遇です。
YouTubeのホームページに表示される
ロング動画(通常の長い動画)の枠が、
最大80%も削減された
というデータがあります。
これはMrBeastのディレクターが、
1,000以上のチャンネルのデータを
分析して確認したものです。
ショート動画がロング動画と
同等の収益性を達成したことで、
YouTube運営にとっては
ショートを優先する
経済的な理由ができてしまいました。
この流れは、
僕自身の体感でも同じです。
僕はショート動画が嫌いなので、
以前から、
「ショート動画を減らす」
というボタンを何回も押していました。
でも、
気づくと数日後には
またショートのおすすめが
画面いっぱいに出現する。
そのたびにうんざりしていました。
YouTube運営が無理やり
視聴時間を稼ごうとしていることには、
その時点で薄々気づいていました。
でも今回、
通常動画のフィードでも
自動再生+音声ONを強制してきた。
これは末期症状です。
つまり、
YouTube運営の側から見ると
こういうことです。
広告の効率は落ち、
ユーザーの視聴時間も
奪い合いになっている。
だからこそ、
勝手に音声ONにしたり
設定を消してでも自動再生を強め、
少しでも再生時間を稼ぐ必要がある。
以前、
このGoogleとYouTubeの
構造的な違いについては
ブログで書きました。

僕だけじゃなかった

この、
「自動再生+勝手に音量ON」
問題について、
「自分だけか?」
「たまたまYouTubeアプリのバグなのか?」
そう思って英語ベースで調べてみたら、
出るわ出るわ、
クレームと不満の嵐です。
そりゃそうですよね。
半強制的に映像を
見せようとしているんですから。
ちなみに、
僕はiPhoneの最新OS
(iOS 26.3.1)を使っていて
YouTubeアプリも最新版です。
端末やアプリが古いせいではありません。
世界中で同じことが起きています。
いくつか紹介します。
Redditユーザー(2026年1月):
「自動再生のトグル(切り替えスイッチ)が削除された。YouTubeはA/Bテストをしているんだろう。視聴時間への影響を測って、結果が良ければ全員から選択肢を奪うつもりだ」
Redditユーザー(2026年1月・iPad):
「新規インストールしたiPadで、『Playback in Feeds(フィードで再生)』の設定項目が完全に消えている。iPhoneにはまだあるのに」
Redditユーザー(2026年3月8日):
パソコン版についてですが「マウスカーソルを動画の上に乗せるだけで、フルボリュームで再生される。かなり不快だし、耳にダメージを与える可能性がある」
YouTube Premiumユーザー(2026年3月):
「Premium会員(有料会員)なのに自動再生ボタンが消えた。A/Bテスト中だという話だが、金を払っている側の選択肢まで奪うのか」
しかも、
サインアウト(ログアウト)すると
設定が復活するという報告もあります。
つまり、
ログインしているユーザー=
広告のターゲティングができる人から、
段階的に選択肢を消している
ということです。
バグではありません。
意図的な仕様変更です。
ここで印象的だったのは、
日本語ではこの情報が
ほとんど見つからなかったことです。
英語で調べて初めて
全体像が見えました。
この件に限らず、
やはり情報収集は
英語ベースでやることが大事だと
改めて感じました。
これは「最後の搾り取り」のサイン
ただ、
ここで考えるべきは、
「うざい」とか「不便になった」
という表面的な話ではありません。
これは、
プラットフォームが終わりに向かうときの典型的なパターン。
だということです。
作家・ジャーナリストの
コリィ・ドクトロウは、
「Enshittification
(エンシティフィケーション)」
という概念を提唱しています。
直訳すれば「クソ化」。
品のない言葉ですが、
的確すぎて、
2023年にはアメリカ方言学会の
「今年の言葉」にも選ばれました。
プラットフォームが
死ぬまでのサイクルはこうです。
第1段階:
ユーザーに良い体験を提供する。
最初は無料で、広告も少なく、
使いやすい。
プラットフォームはユーザーを集めるために、
赤字を出してでもサービスを良くします。
第2段階:
供給者(クリエイター・会社)に利益を回す。
ユーザーが十分に集まって
囲い込みが完了したら、
次はクリエイターや広告主を呼び込みます。
「YouTubeで稼げますよ」
「YouTubeに広告を出せば届きますよ」と。
第3段階:
すべてを株主のために搾り取る。
ユーザーもクリエイターも
囲い込みが完了したら、
今度は両方から搾り取ります。
広告を増やし、設定を消し、
クリエイターの取り分を削る。
ユーザーが離れない程度の、
ギリギリの品質だけを残します。
そして最終的に、
プラットフォームは死にます。
YouTubeの現状を、
このサイクルに当てはめてみます。
初期:誰でも無料で見れる。広告も少ない。クリエイターも稼げる。
中期:クリエイターに収益を分配する。Premium会員を増やす。
今:設定を消す。強制再生する。広告を増やす。クリエイターの収益は40〜70%崩壊
少なくとも僕の目には、
YouTubeは完全に
第3段階に入っているように見えます。
これには前例があります。
Facebookが同じことをやりました。
2014年、
Facebookは企業やお店が
自分のページで投稿しても、
フォロワーに表示される割合を
一方的に減らしました。
そんな時期がありました。
たとえば、
本来フォロワーが1,000人いた場合
投稿が届くのは160人でした。
それが一気に60人にまで
削られたんです。
メッセージは明確です。
「見てもらいたければ広告を買え」。
つまり、
タダで届いていたものを
わざと届かなくして、
「金を払え」と言い始めたわけです。
最終的には、
お金を払わなければほぼ
誰にも表示されない状態になりました。
ユーザー体験よりも
広告収入を優先し始めた瞬間です。
ケーブルTVも同じでした。
Netflixなどの配信サービスに押された
ケーブルTV各社は、
CM枠を一気に増やし、
バンドル料金を値上げしました。
2014年以降、
アメリカでは2,000万世帯以上が
ケーブルTVを解約。
搾り取るほど加入者が減るという
「死のスパイラル」に入りました。
2026年までに、
アメリカでは8,070万世帯が
ケーブルを切っているらしい。
どちらにも共通するのは、
「ユーザーの選択肢を奪う → 短期的に数字は上がる → 長期的に人が離れる」
というパターンです。
YouTubeが設定を消したのは、
このサイクルの
第3段階に入ったサインだと
僕は見ています。
プラットフォームが搾取段階に入ったら、
あとは衰退に向かうだけ。
そのパターンを以前から
意識して見ていたことも、
2025年にYouTubeから
距離をおいた理由の一つです。
ただ、
残念ながらYouTubeから
離れたという僕の判断は、
こうして具体的な数字で
徐々に正しさが証明されつつあります。
さらに数年と経たないうちに、
これは明確な「正解」という答えに
変わっていくと思います。
いや、数年ではなく、
数カ月、1年以内に
その答えが出るかもしれません。
それくらい今の時代は
流れが早すぎます。
そして、
これはYouTubeだけの話ではありません。
今の時代は、
うっかりしていると
気づかぬ間に会社の売上が
一瞬で半減したり、
今まで使っていたシステムが
丸ごと入れ替わってしまう。
そういうことが
普通にありえる時代です。
8年前の警告
最後にひとつだけ。
2018年、
ニューヨーク・タイムズの記事で、
広告テクノロジー企業Simulmediaの
CEOデイヴ・モーガンが
こう語っています。
「動画をあらゆる画面に押し込んでいるのは、ユーザーのためじゃない。技術的にそれができるからやっているだけだ」
彼はYoutubeと同じ広告を流す
プラットフォーム側の人間なのですが、
要するに、
「儲かるからやっている。それだけだ」
ということです。
ちなみに、
動画広告はディスプレイ広告
(バナー広告)の
20〜50倍の収益を生むらしいです。

だから押し込む。
理由はそれだけです。
同じ2018年、
ある米国の広告業界・戦略担当者が
こう予測しました。
「映像の音声付き自動再生は、ユーザーに嫌われすぎる。だからいずれ廃れるだろう」
8年後の現実は逆でした。
YouTubeは音声付き自動再生を強制し、
オフにする設定すら消しました。
廃れるどころか、
「嫌われるとわかっていても
やらざるを得ない」
ところまで追い詰められている、
ということかと思います。
僕がこうした変化に敏感になるのは
プラットフォームの劣化だけでなく、
世界全体の流れを常に
「崩れのサイン」として
見ているからでもあります。
僕自身、
今は戦時中のロシアに住んでいます。
以前はイランを旅し、
ドバイに法人を持っていました。
そんな僕が先日、
日本にいる知人と話したんですが、
どうやら日本ではあまり
深刻なニュースになっていないようで、
彼いわく普通の日常が送られている
とのことでした。
街に出ても危機感はまったくないと。
ホルムズ海峡が
半ば閉鎖されている今でも
そんな状況なのかと、
正直ギャップを感じました。
テレビやSNSをぼーっと眺めていても、
こういう情報は流れてきません。
自分から取りに行かないと
届かない。
このブログを読んでいるあなたは、
自分の意思でここに来ています。
検索して見つけたか、
ブックマークしたか。
いずれにしても、
能動的にテキスト読みに来ている。
映像を強制的に見せられるのと、
文章を自分で読みに行くのとでは、
まるで違います。
なぜ僕がYouTubeで
一切アナウンスをせず、
こうしてブログで書いているのか。
その設計と理由は
メンバーシップで書いています。
