ロシアのネット遮断は「障害」ではない。地方都市・在住者が語るホワイトリスト時代のリアル

森翔吾です。

僕はロシアの「カザン」という
地方都市で暮らしているのですが
この、

ネットがつながらなくなる
という現象に、

日常的に遭遇しています。

そんな経験を交え
実体験ベースで書いていきます。

 

2025年9月の
ある日突然スマホで、

「ロシアのサービス」

しか、使えなくなりました。

YouTubeは元々見れませんでしたが
Gmailすら受信できず、

僕のこのブログはじめ
海外のサービスは
ほぼ全部アウトです。

ちなみに、

分かりやすいように
日本に置き換えると
こういう状態です。

外出先のスマホで使えるもの:

✅ 使える ❌ 使えない
Yahoo!検索 Google検索
PayPay Apple Pay
Yahoo!マップ Googleマップ
楽天市場 Amazon
LINE WhatsApp
TVer YouTube・Netflix
三井住友銀行 海外の銀行

つまり、

「国産サービスだけが使える世界」

ということです。

 

話をロシアに戻しますが
これはあくまで、

外出先の話です。

家に帰ってWi-Fiにつなげば
元々使えなかった、

・YouTube
・Netflix
・Instagram
・X

などSNS、メディア系以外の
Gmailや海外サイトは普通に見れます。

ロシアの自宅でWi-FiとVPNに接続し、海外サービスを利用する様子

「外では国産サービスだけ。
家では自由。」

これが今のロシアです。

 

また、

日本のメディアの多くはこれを
「ネット障害」と報じていますが、

特定のサービスだけ使えて
特定のサービスだけ使えない状態を、

僕は障害とは呼べないと
思っています。

これは、

「ロシア政府による意図的な遮断」

です。

ちなみに、

こうした特定サイトだけ
接続が可能な仕組みを、

「ホワイトリスト」

と呼ぶ見方が広がっています。

 

 

目次

何が起きているのか――もう少し正確に

ロシア政府は
「ドローン対策」を名目に、

モバイルインターネット(4G/LTE)を
意図的に遮断しています。

ただし、

これは先ほども言いましたが
完全に止めるのではなく、

政府が認めた
ロシア国内サービスだけは
アクセスできる、

「ホワイトリスト」制度
2025年9月に導入しました。

当初は数十のサービスでスタートし、

2026年3月時点では
約120以上に拡大しています。

 

現在使えるサービスは
こんな感じです。

カテゴリ ✅ 使える ❌ 使えない
検索

Яндекс(Yandex)

Google
SNS VK Instagram、X、Facebook
メッセンジャー MAX(国産アプリ) WhatsApp
動画 Rutube YouTube、Netflix、TikTok
地図 Яндекс Карты(Yandexマップ) Googleマップ
タクシー

Яндекс Go(Yandex Go)

Uber
通販 OZON、Wildberries Amazon
銀行 Альфа-банк、ВТБ、ПСБ(Промсвязьбанк) 海外の銀行
音楽 Яндекс Музыка(Yandexミュージック) Spotify、Apple Music
政府 Госуслуги(マイナポータル的なもの)

 

クレムリン報道官ペスコフをはじめ
政府全体の公式説明としては、

「ドローンが4G回線を利用して飛行・誘導されるため、モバイル回線を制限する必要がある」

とされています。

 

一方で、

住民や一部の技術者、
メディアには別の見方もあります。

「ドローンはGPSで飛んでいる。
モバイル回線の遮断は本質ではない」

という声もありますし、

ウクライナのドローンが
到達しにくいシベリアや極東でも
遮断が実施されている点を
疑問視する声もあります。

真相はわかりません。

ただ、結果として、

ホワイトリストに残っているのは
ロシア国産サービスばかりです。

 

さらに2026年2月20日、

プーチン大統領は
FSB(連邦保安庁)の要請で、

通信会社がネットを遮断しても訴えられない。

そういう法律に署名しました。

これにより遮断は、

法的にも完全に制度化されています。

 

 

なぜ「今」なのか――偶然にしては、できすぎたタイミング

3月5日、

モスクワで大規模な
モバイルインターネットの
遮断が行われました。

モスクワのクレムリンと通信基地局の夜景。ロシアのモバイルインターネット遮断の象徴的な風景

ここで気になるのが、

なぜ、

モスクワでこの実験が
このタイミングで本格化したのか
という点です。

 

ロシア寄りと見られてきた
国々のリーダーたちが、

この1年少しの間に
相次いで倒れました。

シリアのアサド、
ベネズエラのマドゥロ、

そして、

2026年2月28日には
イランのハメネイ師が
殺害されました。

ロシアの街角でスマホに表示されたRT(ロシア・トゥデイ)のハメネイ師に関するニュース。イラン最高指導者の殺害がロシアに与えた衝撃を象徴する一枚

その5日後——

モスクワの
モバイルインターネットが
突然遮断されました。

 

Reutersの報道によると、

ロシアの当局者がイランや中国の
「ネット遮断の方法」を
研究したうえで、

ロシア国内でも
広範な遮断を実行するよう
命令が出たとされています。

なお、この関係は一方通行ではありません。
ロシアの通信企業がイランの
インターネット検閲インフラの構築を
技術的に支援していたという報告もあり、
両国は互いのネット統制の手法を
共有し合っていた可能性があります。

また、

ロシアの政治評論家の間では、

「プーチンはハメネイ師が情報機関の追跡によって居場所を把握され、殺害されたことを、自分にも起こりうることとして受け止めたのではないか」

という見方も出ています。

 

もちろん、

これは断定できる話ではありませんが、

政府の公式説明は
あくまで「ドローン対策」です。

ただ、タイミングだけを見ると——

5日という数字が、頭に残ります。

 

衝撃:ロシア最大手銀行が使えない

冒頭の表で、

使える銀行の欄に
「三井住友銀行」
と書きました。

なぜ三菱UFJではなく
三井住友銀行なのか。

それは、

日本で言う最大手
三菱UFJ銀行にあたる、

ロシアのСбербанк
(ズベルバンク)がなんと、

ホワイトリストに
入っていない
からです。

理由は驚くべきものです。

 

FSB(連邦保安庁)が
ホワイトリスト登録の条件として、

通信の監視装置(SORM)を、

銀行のシステムに設置することを
要求しました。

つまり、

ユーザーのメッセージや
音声のやりとりを、

政府が盗聴できる仕組み
入れろ、ということです。

しかし、

ズベルバンクをはじめ
いくつかの大手銀行は、

顧客離れを恐れ、
いまだにSORMを設置していません。

結果として、

SORM未設置の銀行は
ホワイトリストから
除外されている状態です。

 

ロシア中央銀行の
ナビウリナ総裁自身が
こう発言しているほどです。

「ホワイトリストに入っている銀行はたった3行。これでは競争が歪む。すべての銀行を入れるべきだ」

つまり、

中央銀行のトップですら
「これはおかしい」
公式に言っている状況です。

外出先で、

ロシア最大手ズベルバンクの
アプリが使えない。

振り込みも、残高確認も、
QRコード決済もできない。

ロシアの商店でMIR決済端末にスマホをかざすが「エラー」と表示される場面。ズベルバンクのアプリが使えない現実を示す

物理カードのタッチ決済は
使えますが、

スマホの銀行アプリが
完全に死ぬ。

これがロシア国民の日常です。

 

 

ただし、銀行アプリにも「ムラ」がある

ここで個人的な体験を
一つ書いておきます。

僕はT-bank(ティーバンク)という
ネット専用の銀行を使っています。

日本で言うと
楽天銀行のようなもので、

ズベルバンクと同様に
ホワイトリストには
入っていません。

しかし、

僕のスマホでは
ホワイトリスト制限中でも
普通に使えています。

ところが、

ネットでロシア人の声を
調べてみると、

「T-bankが使えない」
という報告が多々あります。

ここに、

ホワイトリスト制度の
根本的な問題が見えます。

「公式リスト」と
「実際に通じるもの」が、

一致していないのです。

ロシアのメディアも
この乖離を明示的に指摘しています。

デジタル省が公式に発表した
ホワイトリストと、

各通信キャリアが実際に
アクセスを許可しているリストは
別物です。

キャリアが独自に
追加しているケースもあれば、

公式リストに載っているのに
つながらないケースもある。

 

2026年3月22日には
サンクトペテルブルクで
大規模な障害が発生し、

「ホワイトリスト内のサービスすら
開かない」

という報告が多数上がりました。

ホワイトリストは
「保証」ではなく、

実態としては
「努力目標」に近い運用らしい。

 

つまり、

僕のT-bankが使えているのも
「ムラ」の一部であり、

他の誰かのT-bankが
使えないのもまた
「ムラ」の一部です。

同じアプリ、同じ銀行でも、
地域・キャリア・タイミングによって
結果が変わる。

これがホワイトリストの現実です。

 

 

知られていない技術的限界:プッシュ通知が届かない

ホワイトリストのもう一つの
根本的な問題があります。

ホワイトリスト内のアプリであっても、

プッシュ通知が届きません。

 

iPhoneのプッシュ通知は
Appleのサーバー、

AndroidはGoogleのサーバーを
経由します。

これらは外国サーバーなので、
ホワイトリストに
入れることができないのです。

最前線に近い
ベルゴロド州のグラドコフ知事自身が
この問題を公式に認め、

「オペレーティングシステムの通知は海外メーカーのサーバーを経由しており、ホワイトリストに追加できない」

と説明しています。

知事は連邦政府に解決を求めて
モスクワへ向かうと表明しました。

 

これは命に関わる問題です。

ベルゴロド州はウクライナとの
国境に隣接しており、

住民はMAX(国産メッセンジャー)
経由でドローン攻撃の警報を
受け取っています。

しかし、

プッシュ通知が届かないため、

アプリを常時開いていないと
警報に気づけません。

他の街では、

タクシーを呼んでも
「運転手が到着しました」の
通知が届かないことがある。

ホワイトリストに入っている
サービスですら、

まともに機能しない場面がある
わけです。

 

 

ホワイトリストの構造的限界:海外製の「部品」がどこか1つでもあれば壊れる

プッシュ通知の問題は、

もっと大きな構造的問題の
一例にすぎません。

 

現代のアプリは
単一のサーバーで
完結していません。

一つのアプリが正常に動くために、

CDN(コンテンツ配信ネットワーク)、
DNS、認証サーバー、
プッシュ通知、SSL証明書など、

裏側で複数の外部サービス
連携しています。

ロシア産アプリであっても、

そのサプライチェーンの
どこか1箇所にでも
海外製のインフラが使われていれば、

その部分だけ機能しなくなります。

 

アプリは起動するけど
ログインできない。

地図は開くけど
一部のタイルが読み込めない。

決済画面まで行けるけど
認証が通らない。

そういう「半壊」状態
起きる可能性があるわけです。

 

ホワイトリストは
「サービス単位」で管理されていますが、

インターネットの実際の通信は
「サービス単位」では
動いていません。

IPアドレスやドメイン単位で
無数の依存関係が絡み合っており、

一つのアプリが正常動作するために
必要な通信先をすべて洗い出して
ホワイトリストに加えるのは、

技術的に非常に困難です。

 

「ホワイトリスト」

という概念自体が、

依存関係が複雑に絡み合った
インターネットの現実と
そもそも相性が悪い。

だからムラが出る。

これは運用の問題ではなく、
設計の限界です。

 

 

僕の体験:完全遮断とホワイトリスト、2つの時代を生きて

完全遮断時代――本当に何もできなかった

ホワイトリスト制度が
導入される前は、

もっと過酷でした。

モバイル回線が完全に遮断され、

Yandexも銀行も地図もタクシーも
何ひとつ使えませんでした。

 

我が家でも実害がありました。

妻が不動産の売却契約のために
タクシーを呼ぼうとした日、

ちょうど完全遮断が発生。

タクシーアプリは動きません。

バスで行くしかありませんでしたが、

バスのルートすら
スマホで調べられない。

何千万円規模の不動産取引の日に、
です。

幸い早めに家を出ていたので
ギリギリ間に合いましたが、

紙一重でした。

 

ホワイトリスト時代(現在)――正直、あまり困っていません

個人的には、

ホワイトリストになってからは
あまり困っていません。

タクシーはYandex Goで呼べます。

銀行は、

物理的なカード決済は
普通に使えますし、

振り込みなどはWi-Fi環境下で行えます。

地図は、

Yandexマップが普通に見られます。

妻(ロシア人)には
VKで連絡できます。

通販はOZONで買い物できます。

さらに、

家に帰ればWi-Fiで全部使え、
VPNにも接続すれば
普通にYouTubeやXも見れます。

外出中に、

スマホを触る必要がなくなった
という意味では、

ある種のネット依存からの解放
とも言えます。

ただし、

これは「僕の場合」です。

家にWi-Fiがあり、
ロシアの銀行を使い、
ロシア人の妻がいて、
VKで連絡が取れるから
成立しています。

全員がそうではないかもしれません。

 

 

ロシア人はどう思っているのか――掲示板から拾った生の声

ロシア語の掲示板やコメント欄から、
住民の生の声を集めました。

 

「北朝鮮インターネット」と呼ぶ人たち

プスコフ(ロシア北西部)の住民:

「プスコフのこの“北朝鮮インターネット”に遭遇した。もうずっとホワイトリストだけ。銀行アプリは動かず、QRコード決済もできない。メッセンジャーは死んでいる。」

 

Wi-Fiスポットを渡り歩く旅行者

「夏にプスコフに休暇で行ったが、Wi-Fiスポットからスポットへ走り回り、地図はホテルの部屋でダウンロードした。恐ろしく不便で、街中にインターネットがないように感じた」

 

現金もカードも使えないリゾート地

黒海沿岸のリゾート地アナパに
旅行した人:

「アナパに着いたらインターネットがない。タクシーアプリが使えず、法外な値段で白タクと交渉するしかなかった。現金もなく、ズベルバンクのアプリも動かない。幸いホテルに友人がいて現金を借り、後でWi-Fiにつながった時に返金した」

 

カザンの会社員

僕が住むカザンの住民:

「突然インターネットが遮断され、許可されたサイトだけが残された。ほぼ全員がオンライン会議に参加できなくなり、仕事が非常に不便になった。PCでも多くのサイトが禁止され、せめてスマホで検索できたのに、今はそれすらできない」

 

ホワイトリストすら動かない人

最も深刻なのは、
ホワイトリスト自体が
機能しないケースです。

「なぜ一部の人はホワイトリストが使えるのに、私のようにまったく何も動かない人がいるの? ショッピングモールのWi-Fiにすら接続できない。電話認証が必要なのに、電話が通じないから」

 

 

 

「困っている人」と「困っていない人」の差

ここまで読むと、

僕が「あまり困っていない」のに対して
多くのロシア人が深刻な被害を
受けていることがわかります。

この差は何なのか。

整理するとこうなります。

条件 困っていない人 困っている人
自宅のWi-Fi 固定回線あり モバイル回線のみ
銀行 ホワイトリスト内の銀行を利用 ズベルバンクがメイン
家族との連絡 VK等の国産アプリで可能 Telegram/WhatsApp依存
仕事 在宅 or Wi-Fi環境あり 外出先でシステムを使う必要あり
地域 モスクワ・サンクトペテルブルク 地方都市・国境近く
ITリテラシー 高い(VPN等の対処法を知っている) 低い(高齢者など)

つまり、

都市部でWi-Fiがあり、
ITリテラシーが高い人ほど
困っていない。

地方でモバイル回線しかない人ほど
孤立する。

この制度は、

デジタル格差をそのまま
生活の格差に変換しています。

 

そしてここに、

先ほど書いた
銀行アプリが使えたり
使えなかったりする、

「ムラ」の問題が加わります。

同じアプリ、同じ銀行を
使っていても、

地域やキャリアによって
使えたり使えなかったりする。

困っている人と
困っていない人の差は、

本人の選択だけでなく、

制度そのものの不安定さにも
起因しているのです。

 

ホワイトリストが生む「国家独占」

見落とされがちですが、

ホワイトリストには
深刻な経済的歪みがあります。

 

ロシアの中古品サイト
Авито(AVITO)
(メルカリのようなもの)は
ホワイトリストに入っていますが、

競合のDrom.ru
(カーセンサーのようなもの)や
Cian(SUUMOのようなもの)は
入っていません。

OZONとWildberries
(Amazonと楽天)は入っていますが、

小規模な通販サイトは
入っていません。

つまり、

政府が「使っていい」と
許可したサービスが
独占的に市場を支配し、

許可されなかったサービスは
顧客にアクセスすらできない構造
生まれています。

 

ロシア下院の
КПРФ(共産党)議員たちが
2026年3月18日付で、

FAS(連邦独占禁止局)局長と
デジタル省大臣に書簡を送り、

「ホワイトリストに含まれるサービスが経済的優位性を獲得し、市場を独占できるようになっている」

と指摘しています。

KPRFのユーシェンコ報道官も、

「ホワイトリストへの掲載は特権的地位を与え、競争法に違反する可能性がある」

と述べました。

ちなみに、

モスクワでは
5日間のモバイル遮断だけで、

企業の損失が
30〜50億ルーブル
(約60〜100億円)
に達したと
報じられています。

 

 

次は自宅Wi-Fiもホワイトリスト化されるのか?

2026年3月20日、

Telegramチャンネル「Mash」が

「モスクワの固定回線プロバイダーにもホワイトリスト導入準備が指示された」

と報じたことで
大きな動揺が広がりました。

これに対してデジタル省、
ロステレコム(最大手プロバイダー)、

下院IT委員会が、

「すべてフェイクだ」
と即座に否定
しました。

 

個人的にも、

これは実現しないと考えています。

理由は3つです。

 

1. 経済が壊滅する

2025年だけで、

モバイル回線の遮断による
経済損失は、

推定119億ドルに達しました。

その上で固定回線まで止めたら、

中国や海外との貿易を含むすべての
国際取引のデジタルインフラが死に、
税収が大幅に減ります。

体制を維持するにもカネがいります。

そのカネを生み出すインフラを
自分で壊すわけにはいかないのです。

 

2. 「ドローン対策」の建前が崩壊する

政府は、

「ドローンは携帯基地局の電波を使う。
だからモバイルを制限する」

と説明しています。

有線Wi-Fiは
ドローン誘導に使われないので、

制限する論理的根拠がありません。

 

3. IT技術者が全員出国する

2022年以降、

すでに数十万人のIT技術者が
ロシアから流出しています。

いわゆる頭脳流出です。

固定回線まで制限されたら、

残っている技術者も
どんどん出ていく
でしょう。

 

 

ロシアは中国になれるのか――答え:なれません

こんなことを思った人が
いるかもしれません。

「中国はGoogleもYouTubeも使えないけど、経済は回っている。ロシアも同じようにできるのでは?」

答えは明確にNoです。

 

中国、ロシア、

そしてネット検閲が厳しい
イランも含めて比較してみます。

中国・ロシア・イランの国旗が並ぶ。ネット検閲を強化する3カ国の比較を象徴する画像

🇨🇳 中国 🇷🇺 ロシア 🇮🇷 イラン
構築期間 20年以上かけて段階的に 4年で急増 1990年代から段階的に
仕組み 全回線フィルタリング モバイル回線のみ遮断 国営1社が全回線管理
固定Wi-Fi 制限あり 制限なし 制限あり
国内代替 全分野で成熟 一部のみ ほぼ不十分
ブロック済みドメイン 約31万超 41.7万超 N/A

中国には、

Google→Baidu、
YouTube→Bilibili、
WhatsApp→WeChat、
AWS→Alibaba Cloudと、

全分野で国産代替が成熟しています。

14億人の巨大市場があったから
20年かけて育てられたのです。

 

ロシアにはYandexとVKはありますが、

クラウドインフラ
(AWS・Azure・GCP相当)の
完全な代替は存在しません。

国内市場も
中国の10分の1以下です。

 

面白いことに、

ブロック済みドメイン数では
ロシアはすでに中国を超えて
世界最多です。

ブロックの「量」では
中国を超えましたが、

それを支える
国内代替サービスの「質」
まったく追いついていない。

これがロシアの現状です。

 

ロシア独立メディアMeduzaは
2026年3月13日のポッドキャストで

「中国か、北朝鮮か、イランか? ロシアのインターネットはどの道を行くのか」

と題した特集を組みました。

結論は、

「どれにもなれない
中途半端な独自路線」

モバイルだけ遮断して
固定回線は開けておくという、

いびつな状態が続く
見られています。

 

 

「インターネットが屋内専用になった国」

ロシアのインターネットは今、

屋内と屋外で別の国のようです。

家のWi-Fiに繋がっていれば
VPNを問題なく使うことができ、

YouTubeもGmailもChatGPTも
使えます。

でも一歩外に出た瞬間、

ロシア政府が許可した
約120のサービスしか
使えない世界
に入ります。

先ほどもあげましたが、

プスコフに住むロシア人は、
この状況を自ら

「北朝鮮インターネット」

と呼んでいます。

 

日本のメディアが
「ネット障害」と報じているもの——

それは障害ではなく
明らかな「遮断」
です。

たまたま壊れたのではなく、
意図的に止めています。

ホワイトリストが存在する時点で、

これが偶発的な「障害」である
わけがありません。

 

僕が住むカザンでは、

もう数カ月前からこれが日常です。

モスクワの人たちが3月に初めて体験して
驚いている横で、

地方の住民は
「今頃何を言っているんだ」
と思っているはずです。

 

 

では、この遮断を回避する方法はあるのか?

ここまで、

ロシアのネット遮断の実態を
書いてきました。

当然、

次に気になるのは
「VPNで回避できるのか?」
という点だと思います。

iPhoneの画面に6つのVPNアプリが並ぶ。ロシアで複数のVPNを契約して回避策を探る現実を示す

ただ正直に言うと、

ロシア政府は2026年2月末までに
約470のVPNサービスを
ブロック
しています。

日本や海外で名の知れた
大手VPNはロシアではほぼ全滅。

これが現実です。

僕自身は常に複数契約していますが、

使えるものを見つけるには
それなりの知識が必要です。

今日はかなり長くなったので、

この話はまた次回の記事で
詳しくまとめようと思います。

それでは。

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