こんにちは、森翔吾です。
最近、20年前くらいの写真を見返して
思ったことがあります。
それは当時思っていたことなんですが、
「インターネットが普及すれば、世界はもっと平等になる」
昔の僕は、なんとなくそう信じていました。
生まれた場所とか
親がお金持ちかどうかとか
そういうのに関係なく、
誰もが同じ情報にアクセスできて
誰もが世界に向けて
自分の考えを発信できる。
これって、
人類の歴史上とんでもない
革命のはずだったんですよね。
大企業の社長さんも
地方の学生さんも
同じ土俵で戦える。
テレビとか新聞とかに縛られず
個人の才能と「やる気」
さえあれば誰でも成功できる。
そんな平らで
フェアな世界が来るんだって
本気で思っていました。
でも現実は…気がついたら、取り返しがつかないほど拡大
でもあれから20年くらい経って
今どうでしょう。
ロシアの地方都市カザンから
世界を眺めてみても、
日本の状況を遠くから見ていても、
見えてくるのは
あの頃の理想とはぜんぜん違う景色です。
「持ってる人はもっともっとお金持ちになって、ギリギリで生活してる人はそこから抜け出せない。」
この、昔からある構図を
インターネットっていうテクノロジーが
ものすごいスピードで、
ただひたすら増幅しているようにしか
僕には見えません。
特に僕が住んでいるロシアでは
その差がとてもはっきりしています。
ごく一部の「勝った人」が
富をどんどん独り占めして、
それ以外のたくさんの「負けた人」との差は、
「これ、どうやってもひっくり返せないじゃん……」
そう感じてしまうくらい
絶望的に開いてしまいました。
なんでこんなことになっちゃったんだろう。
「こんなはずじゃなかったのにな」
というガッカリ感が
じわじわ溜まっていく感じです。
インターネットが生み出したものは
「平等なチャンス」じゃなくて、
結果の不平等さをとんでもなく
増幅させる装置だった。
これが、今の僕の結論です。
その一番大きな理由は
ビジネスの世界でいう
「レバレッジ」の桁が、
インターネットによって
根本から変わってしまったからです。
レバレッジ=てこの原理。
小さな力で大きな岩を動かす
あのイメージですね。
ビジネスで言うと、
自分の働いた力を何倍
何千倍にもしてくれる
「仕組み」のこと。
昔のビジネスには必ず
「物理的な限界」がありました。
たとえば、
超人気の料理人さんがいたとしても
1日に提供できるお客さんの数には
限りがあります。
・イスの数
・お店の広さ
・開けている時間
どれだけ頑張っても
1日に1000人分の料理を
自分の手で出すのは無理ゲーです。
もしお店を増やしたければ、
新しい店舗を借りて
人を雇って
不動産に投資して……。
レバレッジを効かせるにも上限があって
それなりのリスクとお金が必要でした。
ところが、
インターネットの世界では
この「限界」がほとんどなくなりました。
一度作ったデジタルコンテンツ。
YouTubeの動画
ブログの記事
ソフトウェア
オンライン教材。
これって、コピーするのに
追加コストはほぼゼロですよね。
100人に届けるのも
100万人に届けるのも
かかる手間はほとんど変わらない。
つまり、
レバレッジが「ほぼ無限」に効いてしまう。
一回でも「勝ちパターン」を見つけた
個人や会社はその利益を文字通り
どこまでも拡大できてしまう。
・Google
・Meta(Facebook)
・Apple…
彼らが笑っちゃうくらいの
利益を出せるのは、
世界中の人の「時間」と「注目」を
一番効率よく集める「場所」を
ネットの上に作ったからです。
そして、
その「場所」で一度
トップに立ったサービスやクリエイターは、
「ネットワーク効果」
(使う人が増えれば増えるほど
価値が上がっていく仕組み)
これによってさらにお客さんが集まり。
これをあとから来た人がひっくり返すのは
めちゃくちゃ難しくなります。
勝った人が、ほとんど全部持っていく。
この構造が、あらゆるジャンルで
しかも「地球サイズ」で
同時に起きているのが
現状だと思います。
僕が「踏み台の危ない性質」を学んだ3つの経験
実は、この「勝者総取り」の構造は
ビジネスをしている人だけの
話じゃありません。
サラリーマンの人も
実は同じ構造に
ハマっていることに
気づいていないだけなんです。
あなたが働いている「会社」って
実は一種の「プラットフォーム」
なんですよ。
・給料
・肩書き
・人間関係
・キャリア
そのほとんどを
1つの会社のルールに預けている。
YouTubeやAmazonに依存するのと
実は本質は変わらない。
その話を具体例を交えながら
説明しようと思います。
この「勝者総取り」の構造は
5年間ガッツリ向き合ってきた
YouTubeの世界でもまったく同じでした。
「面白い動画を作れば、誰でも見てもらえる」
これは、半分は本当で
半分はキレイ事です。
実際には、
YouTubeのアルゴリズム(AI)が
「このチャンネルいいね」
って評価した瞬間
再生回数が一気に上がり
広告収入がそこに集中します。
僕のチャンネルも
ぐーっと伸びていた時期は
その波に乗れたおかげで
登録者が一気に増えました。
でも、
その裏でどれだけ頑張っても、
・再生数がまったく伸びないチャンネル
・収益化すらできないチャンネルが
山のように積み上がっていく
そんな現実もありました。
そして一番怖いのはここです。
プラットフォームの気まぐれな
ルール変更ひとつで、
昨日まで人気者だった人が
一瞬で「誰も知らない人」に
逆戻りしてしまうこと。
常に「誰かの評価」にビクビクして
自分ではコントロールできない
そんなルールの上で踊り続ける。
心がすり減るだけの消耗戦です。
YouTubeから学んだこと:
アルゴリズムという「他人の判定」に全て左右される土俵では、どれだけ頑張っても「ハンドルを握る」ことはできない。
ちなみに、
会社員の人も
これと全く同じ構造を
経験してるはずです。
会社の「人事評価制度」という
アルゴリズムがあります。
・上司の評価
・360度評価、
・決算期の業績評価……
これらすべてが「その時々のルール」で
あなたの給料や昇進が決まる。
YouTubeのアルゴリズムが
気まぐれに変わるように、
会社の評価制度も
突然変わったりします。
「昇進ルール」が変わる。
「給料テーブル」が改定される。
「部署が廃止される」
こういう「ルール変更」の前では
個人の力は無力です。
その会社のルールに全て左右される。
その意味では、YouTuberと同じ。
「会社という土俵」の上で
踊らされているんです。
こういう、
「自分でハンドルを握れない場所」
に人生を預ける怖さって
実は僕、YouTubeより前から
何度も味わってきました。
物販ビジネスをやっていた頃は
仕入れはアメリカ人パートナーに。
販売はAmazonのルールに。
それぞれガッツリ依存していた
時期がありました。
パートナーに500万円分の在庫を
持ち逃げされたこともあるし、
その前後では詐欺にも遭って
ボロボロになりました。
それだけじゃなくて、
Amazonっていう
巨大プラットフォームのルールに
振り回される怖さも
ずっと感じていました。
競合の嫌がらせで
ありもしないクレームを入れられたり、
本当は何の問題もない商品なのに
誰かの悪意ある通報が通ってしまって
急に出品が止められたり
一時的に売れなくなったりする。
説明しても なかなか
話を聞いてもらえないし
最終的なジャッジは
全部Amazon側に握られている。
土俵もルールも相手側に
握られている場所で戦うと、
どれだけ心が削られるかは
本当に身をもって知っています。
Amazonから学んだこと:
プラットフォームに依存すれば、一方的に都合が悪くなった時に、こちらは防ぎようがない。
だから今はもう、
「一つの相手」
とか、
「一つのプラットフォーム」
に人生まるごと
預けてしまうような働き方は、
できるだけ避けたいなと
本気で思うようになりました。
でもね。
YouTubeにしても
Amazonにしても
SNSにしても、
うまく使えば めちゃくちゃ
強力な味方になります。
ただどこまでいっても
あれは「借りた土俵」です。
ルールを決めるのは
プラットフォーム側であって
僕ら個人じゃない。
だからといって、
「全部やめて山ごもりしましょう」
という話ではありません。
重要なのは「バランス」です。
「借りた土俵」(YouTube、Amazon、SNS、会社)と、
「自分で用意する土俵」(ブログ、メルマガ、コミュニティ)
のバランスを少しずつ
自分のほうに寄せていったほうが
いいよね という感覚です。
僕自身もここ数年は
他人のさじ加減ひとつで
一瞬で消されてしまうような
場所だけに頼るんじゃなくて、
・自分のペースで積み上げられる場所
・ちゃんと腰を据えて発信し続けられる場所
の比率を少しずつ増やしてきました。
複数の「土俵」を持つようにしたわけです。
ネットと現実——判断と行動で分かれる結果
ここからは少しだけ
ネットじゃなくて
「リアルな土俵」の話をします。
重要なのは、
ネット上の「情報」と「判断」は
別物ということ。
同じ情報を持っていても、
それをどう判断して、その上で実際に行動するか
で人生の結果が変わってしまう。
その具体例が
ロシアの不動産投資です。
僕ら家族が今住んでいる
カザンのマンションを、
「ここにしよう!」
と決めたのはだいたい
1年半くらい前でした。
その後、この1年半で何が起きたか。
当時僕らが払った金額から比べて
同じタイプのマンションが今
40%も値上がりしているんです。
・マンション価格
・職人さんの給与
・使用する資材
これらすべてが値上がりしたのですが
改めてインフレの恐ろしさを
かなり生々しく感じました。
もし、
あの時に買っていなかったら
一生手が届かなかったと思います。
滑り込みセーフでした。
本当に危なかった。
でも、
なぜ僕らはあの時点で
買う決断ができたのか。
実は、その時期の市場環境は
かなり悪かったんです。
その時期、
住宅ローン金利は
20%という高い水準でした。
仮に3000万円ローンを組んだら
年間600万円も返済しなきゃいけない。
そりゃ買い手も逃げますよね。
だからマンションは売れ残っていました。
同時に、
インターネット上の 大方の意見はこうでした。
「ロシア、カザンの不動産はバブル。これからどんどん値下がりする」
「平米単価が高すぎる。今は買いじゃない」
つまり、
ディベロッパーや販売者にとっては
最悪の時期です。
マーケットが「買うな」と言っているのに
誰が買うのか。
ここでは、
「情報は皆が持っている」
という状況が成立しています。
ネット情報:「バブル、買うな、値下がり予想」
市場環境:「金利20%、売れ残り」
一般的な判断:「こんな環境では手を出すな」
情報は平等に行き渡っていました。
でも僕らは
その最悪の時期に買いました。
なぜか。
ネット情報だけを
鵜呑みにしなかったからです。
代わりに、僕らが何をしたか。
実際に足を運んで
徹底的に調査しました。
職人さんたちに何度も何度も聞き回りました。
「この価格でこのクオリティ、どう思いますか?」
「資材は何を使ってますか?」
建設業者の信頼度は本当にあるのか
もちろんチェックしましたが
それだけじゃなくて、
壁の厚みを確認したり
窓がどのメーカーのものかチェックしたり
エレベーターは何を使っているのか、
なども見ました。
こういう「リアルな現場」での情報は
ネットには落ちていません。
そしてもう1つ。
ソ連崩壊や金融危機を経験した
ベテランの不動産投資家の話を聞きました。
その人は、
ネット情報とは全く違う
アドバイスをくれたんです。
「建設メーカーの評判が良好という前提で。
だけど売れない時期こそが買いどき。
誰もが逃げている今だからこそ
質の良い物件は掘り出し物だ」
ここです。
ネット情報は、多数の意見かもしれないけど
必ずしも正確ではない。
むしろ、逆の視点もある。
「売れない時期 = 値段が安い」
「ネット上で誰もが買わないと言っている = チャンスかもしれない」
そして、自分たちのリアル調査が
「この物件は質が良い」と示していた。
つまり、
「質は高いのに、市場環境の悪さだけで
価格が抑えられている」
という状況だったんです。
これは、買い手にとって最高のタイミング。
僕らが取ったリスク判断は
ネット情報ではなく、
「自分たちの目で見たもの」
と、
「経験者の知恵」
に基づいていたんです。
結果として、その判断は正しかった。
1年半で40%の上昇。
ただ、ここで伝えたいのは、
「僕らが正しかった」
という自慢ではなくて、むしろ逆です。
「同じ情報を持っていても、判断と行動で全て変わる」
ということなんです。
情報は誰でも手に入れられる。
でも、その情報を、
・どう判断するか
・実際に行動するか
・リアルに検証するか
そこで全部が決まるということです。
ネット情報だけを鵜呑みにすれば
僕らもあの時期には手を出していなかった。
でも、
現地に足を運び、職人さんに聞き
ベテランの意見を聞き
自分たちの目で判断した。
その「行動」と「リアルな情報検証」が
40%の上昇を生み出したんです。
チャンスは、情報が行き渡る前に
もう終わっている。
気づいた時には、誰もが知っていた。
そういう世界になっているんです。
では、複数の土俵を持つとは、具体的にどういうことか
ここまでが
ネットの土俵、そしてリアルの土俵で
僕が体験してきた話です。
ここまで読むと、
「じゃあもう、何をやっても無理なんじゃない?」
と感じるかもしれません。
ただ、個人レベルでできる
“逃げ道”や”抜け道”も
まだちゃんと残っています。
じゃあ、
こんなちょっと残酷な世界で
僕ら普通の個人はどう生きればいいのか。
ポイントは、
「借りた土俵」と「自分で用意する土俵」
を両方持つこと。
つまり、
「複数の土俵を組み合わせて 自分の小さな国を作る」
ということです。
僕なりの答えは、大きく3つです。
1つ目。
「消費する側」から「生産する側」 に半歩ずれる。
毎日、SNSとニュースを眺めて終わる生活だと
ずっとプラットフォームの「養分」のままです。
そうじゃなくて、
どんな小さなことでもいいから
自分の経験や知識をもとに
何かを「作る側」に回る。
ブログを週1本書いてみる。
Xで仕事の気づきを発信してみる。
noteで専門知識をまとめてみる。
「いいね」を押す側から、押される側に。
ほんの半歩だけ、立ち位置をずらしてみる。
会社員なら、毎日会社の指示を受けて
上司の評価を気にして生きるだけだと、
「その会社の中でしか価値がない人」
になります。
そうじゃなくて、
会社の仕事をしながらも、
「会社の外」で 何かを
「作る側」に回ってみる。
「会社の評価」を気にする側から
「会社の外の人たちの評価」を 受ける側に
ほんの半歩だけずれてみる。
これが、
「自分で用意する土俵」の第一歩です。
こうやって 「会社という土俵」と
「自分で用意する土俵」 両方を持つようになると、
会社でのリストラ、転職、給料カットが起きても
「全て終わり」にはならなくなる。
むしろ、
「次のステップへの転換点」 になったりするんです。
2つ目。
「何でも屋さん」じゃなくて
自分だけの掛け算を持つ。
1つの分野で完璧な100点を目指すのは
かなり大変です。
でも、いくつかの分野で
「上位2割くらい」、
つまり「まあまあ得意」に入って
それを掛け合わせることで、
「このタイプなら、あの人しかいないよね」
っていうポジションは作れます。
ロシア在住で YouTubeもやっていて
物販の失敗も成功もしていて
ロシアで不動産も持っている日本人。
ここまで掛け算すると、たぶん僕一人です。
まあこの需要がどれくらいあるかは
わかりませんが。笑
一度、自分の経験を全部書き出して、
「自分だけの掛け算は何か?」
を考えてみると、
そのままオンリーワンのポジション探しに
つながっていきます。
3つ目。
デジタルだけじゃなくて
「リアルな資産」ともつながっておく。
これは別に、
「全員が不動産を買いましょう」
という話ではありません。
ただ、
ネットの数字だけを追いかける生き方って
なにか1発イベントが起きたときに
ダメージが大きすぎるということです。
ちゃんとした場所にある
ちゃんとしたリアルな資産は
値段が上下してもゼロにはならない。
インターネットという増幅器の上で
うまく立ち回りつつ
足元はリアルなものでも固めておく。
この、デジタルとアナログの
ハイブリッドな感覚を持つことが
これからの時代の、
かなり大事な “保険”になる
そう思っています。
まとめ:複数の土俵で「自分の小さな国」を作ろう
最後に、一番伝えたいことだけ
もう一度シンプルに言うと。
AI含めインターネットとは、
格差もチャンスもとんでもないスピードで
増幅させる「残酷な増幅器」
です。
ここから逃げることはできません。
ただし、
その仕組みを理解した上で
戦略的に動くことはできます。
「借りた土俵」 (YouTube、SNS、Amazon、会社) で一時的なチャンスを掴みつつ、
「自分で用意する土俵」 (ブログ、メルマガ、コミュニティ)
を少しずつ作っていく。
複数の土俵を組み合わせることで、
・どれか1つが揺らいでも、全体が倒れない
・自分でハンドルを握る部分を増やしていく
・判断と行動で「差」を生み出す
こうやって
複数の土俵を持つようにしていけば、
世界全体がどれだけ理不尽でも、
「自分の小さな国の中だけは、
そこそこ平和で、そこそこ豊か」
みたいな状態は
作っていけるはずです。
ここまで読んで、
「でも俺は会社員だから
そこまで大きな行動はできない……」
と感じる人もいるかもしれません。
でも、実は逆です。
会社という「安定した給料」がある分
サラリーマンこそが
「複数の土俵を持つ」のに
最も適した立場なんです。
会社の給料で生活費は安定させながら
自分のペースで 「小さな土俵」を作っていく。
焦る必要もない。
失敗しても、会社の給料がある。
むしろ、
その「余裕」を活かして
5年、10年かけて
「自分の小さな国」を作っていく。
そうなったとき
人生の選択肢が一気に増えます。
・会社が嫌になったら、やめてもいい
・給料が下がったら、自分の土俵から稼ぐ
・転職するときも、自分のブランドがある
こういう「複数の選択肢」を持つことが
これからの時代の強さだと思います。
別に、 起業しろ、不動産買え
という話ではありません。
ただ、
「会社という1つの土俵に全て預ける」
という生き方は ちょっと危ないよね。
ということを伝えたいだけです。
僕もまだその途中ですが
同じ時代を生きている仲間として
何か一つでも自分の生き方を考える
ヒントになればうれしいです。

