【経済制裁のリアル】今頃?中国からロシアへ「輸入され続ける」トヨタRAV4が大人気

森翔吾です。

今日、

こんなニュースを見ました。

「トヨタ車や独高級車も、ロシアに自動車数万台が流入。中国経由し制裁回避」ロイター通信

日本にいる人は
驚くかもしれません。

でも正直に言うと、

ロシアに住んでいる
僕からすると、

「え、今さら?」

っていうのが本音です。

だって、

僕はそれを
自分の目で見ているから。

実はちょっと前にも、

衝撃を受けたばかりで。

スバルの最新型フォレスター

2026年モデル。
旧型じゃなくて最新型です。

それが、

「ТЕСТ-ДРАЙВ」
(テストドライブ)

とロシア語で
デカデカとラッピングされた状態で、

この地方都市カザンの街を
走っていたんですよ。

撤退したはずのスバルが?

しかも最新型のテストドライブ車が?

しかもモスクワじゃなくて
カザンで?

あまりに衝撃だったので
メンバー限定で
詳しく書きましたが、

この国では「撤退」の意味が
日本とは違うんだなと。

つくづく感じています。

カザンの街中で目撃したスバル新型フォレスターのテストドライブ車

 

目次

M12高速で、トラックの荷台に積まれた「RAV4の群れ」

昨年、

YouTubeの映像を撮るために
M12というロシアの高速道路を
走りました。

カザンからモスクワまで、
約800キロ。

このM12は2023年に開通した
ロシア版アウトバーンみたいな
有料高速道路で、

片側2〜3車線、
制限速度110km/h。

でもオービス(速度カメラ)は
ほぼなく、

200km/h出してる車も
珍しくない。

遅いトラックを追い越した時のこと。

バックミラーを見ても
後ろには誰もいなかったはずが
気づいたら、

猛パッシングされて
慌てて道を譲った。

ってことがありました。

追い越していったのは
AMG、ポルシェのSUVで
スポーツタイプの車たち。

そのきれいなハイウェイを、

流れに沿って
160km/hくらいで走っていると、

前方に何台も
大型の積載トラックが
見えてきました。

荷台に載っているのは、
全部、車。

しかも同じ車種。

トヨタ・RAV4

1台、2台じゃないですよ。

トラック1台に
8台のRAV4が積まれています。

しかも、

走りながらよく見ると、
明らかにおかしいんですよ。

ヘッドライトの形が
ロシアで売られていたモデルと違う。

2リッターのモデルで、
中国仕様特有のデザイン。

「あぁ、これ中国から来たやつだ」

すぐにわかりました。

実際にその映像、
残っています。

下の動画は
僕が実際にM12を走った時のもの。

RAV4を積んだトラックも
映っています。

 

走行距離ゼロの「中古車」という矛盾

今回のロイターの記事では、

中国で新車として買って、

すぐに「中古車」として
再分類してロシアに輸出する。

そういうカラクリが
報じられています。

走行距離ほぼゼロの
「中古車」。

中古車扱いにすれば
メーカーの承認がいらない。

四川省の業者が、

「この手法ならメーカーの許可なしでロシアに送れる」

と語っている。

日本のニュースを
見ている人は、

「そんなことがまかり通るのか」

と思うかもしれません。

でもね、

通ってるんですよ。

現に。

僕が住んでいる
カザンの街を歩いていても、

たまに見かけますからね。

ロシア仕様じゃないRAV4。

しかも、

ナンバープレートがついてない。

ロシアでは車を新しく買ってから
登録するまで、

1週間〜10日くらい
猶予があるんですよ。

その間はナンバーなしで走れる。

実際僕も、

スバル・フォレスターを買った時も
同じく1週間くらいなかった。

ちなみに、

ナンバーがないと
オービスに引っかからない。

つまり、

取り締まりの仕組み上、
罰則が届きにくいと
感じる人もいるのか、

体感として
ナンバーなしの車は
めちゃくちゃ飛ばしてる人
多いんですよ。

もうスーパーマリオの
スター状態。笑

僕も何回もくらいましたが
40キロオーバーまでは
500₽=1,000円。

でも、

早く支払えば50%オフで
250₽=500円っていう。

ナンバー無し
=新車(ロシア未登録車)

だから、

ナンバーのないRAV4を見ると、

「あ、この人最近買ったんだな」

ってわかる。

そしてヘッドライトの形を見て、

「あ、中国から来たやつだ」

ってわかる。

売れてるんですよ、実際。

ロシアの街で見かけるナンバーなしの中国版トヨタRAV4

 

現地のオークションサイトを見れば、一発でわかる

ロシアにはAvito(アビト)
という個人売買のサイトがあって、

日本でいう、

メルカリとヤフオクを
合体させたような
プラットフォームです。

そこで、

「Toyota RAV4 из Китая」
(中国から)

と検索すると、

出てくる出てくる。

2025〜2026年モデルの
中国版RAV4が
350万〜500万ルーブル

安いものだと
300万ルーブル台もある。

今のレートで
1ルーブル=約2円だから、

日本円にすると
約700万〜1,000万円

一方で、

日本やUAEから
ちゃんとしたルートで
並行輸入されたRAV4は
500万ルーブル前後

日本円で約1,000万円

さらに上位の
2.5ハイブリッド(AWD)だと
618万〜766万ルーブル

日本円で
約1,240万〜1,530万円

 

ルート 価格(ルーブル) 日本円換算
中国経由(中国版2.0L) 350万〜500万₽ 約700万〜1,000万円
日本/UAE並行輸入 500万₽前後 約1,000万円
2.5HV AWD(並行輸入) 618万〜766万₽ 約1,240万〜1,530万円
中国メーカー新車SUV 400万₽〜 約800万円〜

 

日本で400万〜500万円の車が
ロシアでは3倍近い。

運賃、関税、手数料、
中間業者の利益、

そして”リスクプレミアム”。

制裁下のロシアに入れる
というだけで
値段が跳ね上がる。

それでも、

中国経由で仕入れれば
350万ルーブル〜。

もちろん、

日本で買うよりは
全然高いんですよ。

でもね、

ロシアの市場では
それでも「安い」んですよね。

なぜなら、

中国メーカーの新車SUVが
400万ルーブルとか
普通にしますから。

同じ400万ルーブル出すなら、

中国メーカーの車と
トヨタのRAV4と、

あなたなら
どっちを選びますか?

僕は100%RAV4。
日本車ですね。

実際に3年間、

日本車に乗って手放した時に
それを身をもって実感しました。

ロシアAvito上のトヨタRAV4並行輸入車の価格一覧

中国車シェア51%。でも風向きが変わり始めた

ロシアの調査会社
「Autostat(アフトスタット)」
のデータによると、

2025年、

ロシアで販売された新車の
51.5%が中国ブランド

市場全体の販売台数は
約130万台。

その半分以上が
中国車です。

ただ、

面白いのがここから。

2024年には約90万台売れた
中国車が、

2025年は約67万台。

前年比マイナス25%

一番売れた中国ブランドは
Haval(ハヴァル)で
約17万台。

でも全体として
中国車の売上は
はっきりと落ちている。

Autostatの予測では、
2026年は中国車のシェアが
50%を下回ると。

代わりに、

ロシア国内で組み立てた車の
シェアが伸びている。

これ、

何が起きているかというと、

要するに
中国車に対する不満が
表面化してきた

ということです。

前回の記事でも書きましたが、

元トヨタ担当の
ディーラーの人はこう言っていました。

「中国車の新車は、今は確かによく売れています。でも中古になると、一気に買い手がつきにくくなる。

1年で価格がほぼ半額になることもある。あと、やっぱり日本車やヨーロッパ車ではありえないような壊れ方をする」

このディーラーの声が、
数字にも出始めている。

そういうことだと
僕は思っています。

 

じゃあ国の補助金はどうなっているのか

ロシア政府は
自動車購入の優遇ローン制度を
やっています。

車の価格の10%〜35%を
政府が補助してくれる。

ただし条件がある。

対象車の価格上限が
200万ルーブル(約400万円)

そして対象ブランドは
ラーダ、UAZ、GAZ、

そして、

中国メーカーはHaval。

(ロシアのトゥーラ州にある
工場で組み立てたものに限る)

つまり、

中国メーカーの中で
唯一この補助を受けられるのは、

ロシア国内に工場を持つ
Havalだけ

他の中国メーカーは対象外。

そしてトヨタは当然、対象外。

さらに、

SVO(特別軍事作戦)の
参加者には最大35万ルーブル
(約70万円)の補助が出る。

子供が2人以上の家庭には
10%の補助。

極東地域は25%。

こうやって見ると、

ロシア政府が
中国車を推しているというよりは、

ロシア国内の生産を
守りたいんだな、

というのが見えてきます。

Havalが優遇されているのは、

「中国車だから」

じゃなくて、

「ロシアに工場があるから」。

結局、

国にとって大事なのは
雇用と税金ですからね。

ロシア政府の自動車購入補助金の対象となるHavalディーラー

 

車だけじゃない。家の中が、全部中国製になった

ここからは
車の話だけじゃなくて、

もっと広い話をします。

制裁で、

日本やヨーロッパの製品が
ロシアから消えた。

その穴を全部埋めたのが
中国メーカーです。

車だけじゃない。
家電も、全部

僕ら夫婦は去年、

カザンで新築のマンションの
内装工事をやりました。

その時に買った家電。

テレビ——Hisense(ハイセンス)。
もう1台のテレビ——Haier(ハイアール)。
オーブンレンジ——Hisense。
コンロ——Hisense。
冷蔵庫——Hisense。
プロジェクター——Hisense。
掃除機——Dreame(Xiaomiグループ)。
ロボット掃除機——同じくXiaomi系。
ハンドブレンダー——Midea(ミデア)。
加湿器——Xiaomi。
圧力調理器——Midea(ミデア)。

僕の家を見渡してみると、

パソコンやカメラ以外、
全部中国です。

最初は正直、不安でした。

でも、

ちゃんと使えるんですよ。

冷蔵庫のHisenseなんて
18万ルーブル(約36万円)
しましたけど、

普通にいいですからね。

みんな買ってます。

Ozon(ロシア版Amazon)を
見ても、

中国メーカーがずらり。

選択肢がないから買う、
というより、

もうそれが
当たり前になってしまった。

 

東芝はハイセンスの「レクサス」だった

面白い話をひとつ。

ロシアの家電量販店に行くと、
「TOSHIBA」というブランドが
並んでいます。

東芝。

日本人からすると
日本メーカーですよね。

でも、

東芝の映像事業は
もうHisenseに
売却されています。

だからロシアで売られている
東芝ブランドの製品は、
中身はHisenseなんです。

お客さんは、

「東芝=日本メーカー」

だと思って買っている。

でも店員さんは知っている。

僕がその話を
店員さんにしたら、
こう言われました。

「東芝はレクサスで、Hisenseはトヨタみたいなものです。中身はほぼ同じ。

知っているならHisenseを買った方がいい。ブランド料を払うのは、もったいないでしょう」

わかりやすいなと思いました。

でもほとんどの人は
知らないんですよね。

東芝だと思って、

「日本メーカーだから安心」

って買っている。

これも、

現地にいるから
わかることのひとつです。

ロシアの家電量販店に並ぶ東芝ブランドとHisense製品

トイレも中国製。3万ルーブルのタンクレス

ちなみに、

うちのトイレも中国製です。

日本でいうTOTOの
タンクレストイレみたいなやつ。

実は最初、

日本から持っていこうと
思ってたんですよ。

やっぱりトイレは
日本製がいいじゃないですか。

パナソニックのアラウーノとか
本体18kgくらいなので、

梱包入れても
飛行機の預け入れ荷物の
23kgにはギリギリ収まる。

いけるかな、と思ったんですけど。

でもね、

2つのバスルームがあるから
2台必要で、

飛行機で自分たちで
運ばなきゃいけない。

途中で破損したら
10万、15万が
パーになる。

空港まで運ぶのも大変だし、
向こうの空港から
家まで運ぶのも地獄。

で、諦めました。

どうしようかなと思って
ロシアのネットを
調べていたら、

普通にタンクレストイレが
出てきたんですよ。

しかも安い。

3万ルーブル
(当時のレートで約5万円)。

セールの時は
2万ルーブル
(約3万5千〜4万円)
まで下がってました。

日本で同じようなものを
買ったら
10万〜20万円はしますよね。

しかも、

半年以上使ってますけど、
特に不満はないです。

最初のころだけ、

水圧が強すぎて
飛び出るっていう
ちょっとした事件がありましたけど、

なぜか自然に治った。笑

設定は何も触ってないのに。

日本のTOTOや
INAXほどの繊細さはないけど、

この値段なら
十分すぎるくらいです。

ロシアの自宅に設置した中国製タンクレストイレ

それでも「10年落ちの日本車」を選ぶ人がいる

ここまで書くと、

「中国がロシアを
完全に支配しているのか」

と思うかもしれません。

数字だけ見ればそうです。

新車の半分以上は中国車。
家電はほぼ中国一色。

でも、

僕が現地で聞いている声は
ちょっと違う。

元ヨーロッパ車や
日本車のディーラーで
働いていた人たち。

車のことを
本当にわかっている人たちは、

口を揃えてこう言います。

「自分は絶対に中国車は買わない。それだったら10年落ちの日本車かヨーロッパ車の方がまだマシだよ」

故障が少ない。
部品がまだ手に入る。
リセールバリューが圧倒的に高い。

中国車は400万ルーブル出しても
1年後には160万ルーブル。

日本車は10年落ちでも
値段が崩れない。

わかっている人は
わかっているんですよね。

でも、

ディーラーで買うことができる
新車が欲しい人にとっては
中国車しか選択肢がない。

そういう構造なんです。

 

「きれいごと抜きの世界」に住んでいる

日本のニュースでは
「制裁」「撤退」「禁輸」
という言葉が並びます。

でも、

ロシアに住んでいると
そのどれもが「建前」
だということがわかる。

スバルはロシアから
「撤退」したことになっているけど、

代表事務所はモスクワに
今も存在しています。

トヨタは対ロ販売を
「禁止」しているけど、

中国経由で
数万台がロシアに流れている。

ベンツは、

「調査は複雑で時間がかかる」

と声明を出している。

確かにM12で
ベンツが積まれているのは
僕は見たことない。

ヨーロッパの方面から
入ってきてるのか、
ルートが違うのか。

でもね、

カザンの街中では
普通に見かけるんですよ。

ロシアではもう
正規販売していないはずの、

新型のベンツやBMW。

しかもナンバーなし。

=最近買った車。

今、

ロシアで
ベンツのEクラスを
新車で買おうとすると、

925万〜1,040万ルーブル

日本円で
約1,850万〜2,080万円

ベンツのGLE
(SUVモデル)だと、

1,095万〜1,600万ルーブル

日本円で
約2,190万〜3,200万円

それでも、

ナンバーのない
新車のベンツやBMWを
街で見かける。

みんな買ってるんですよ。

2,000万円、3,000万円する車を
平気で買える人がいる。

見た目は地味なおじさんが、
平気でGLEに乗ってたりする。

ロシアって
そういう国なんですよ。

M12を走れば
トラックに積まれた車が
見えてしまう。

これが現実です。

きれいごとは
誰も信じていない。

ロシアの人も。
中国の業者も。
たぶんメーカーの人も。

みんなわかっている上で
黙っている。

僕はただ、

ここに住んでいるから
見えたことを
書いているだけです。

経済制裁下でもカザンで見かける新型メルセデス・ベンツとBMW

 

追伸:

前回、

僕自身がロシアで3年間乗った
スバル・フォレスターを
手放した話を
メンバー限定で書きました。

3年7万キロ乗って、
事故歴ありだったけど、

買った時の約90%の値段で
売れた。

この数字の意味、
わかりますか?

日本車のリセール力を
実感した話です。

逆に、

制裁下でパーツが届かなくて
地獄を見た話も。

今日の記事を読んで
「ロシアの車事情、面白いな」
と思った方は、

たぶんこっちも
かなり刺さると思います。

メンバー限定記事:制裁下のロシアで「新型フォレスター」を目撃。僕が旧型を手放した理由。

 

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